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高速道路会社発足10周年

2015年10月01日 22:41

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↑東名高速上郷SAにて

日本道路公団が「民営化」された2005年10月から今日でまる十年となります。新会社発足後は高速道路会社の3社によるサービスの向上やSA・PAの盛り上げなど、一利用者の作者KAWASAKIとしても色々と楽しませていただいているところであります。
たまたま、当方が×年前に作成した論文を読み返したところ。当サイトでは公共事業の是非については取り上げないこととしていますが、ちょっと思うことをつらつらと書いてみます。

●実は民営化はされていない。

 このあたり本当にまぎらわしいところですが、行政ではなく民間出資による経営を「民営化」と定義するのであれば、現在の高速道路会社は全て「民営化」されておらず、あくまでも「国有株式会社化」です。将来的な民営化を目指すのであれば別ですけど、マスコミなどで「国有株式会社化」も「民営化」と言ってしまうところがそもそも誤解の根源のように思うのですが…。
 ただ、「株式会社」とすることで経営の透明性は格段に増すうえ、特殊法人会計に比べれば会社組織の方が財務面でのガバナンスがかなり強化されます。そういった目的での「国有株式会社化」はむしろ歓迎すべきであるように思います。

●料金プール制の問題、受益と負担の議論は結局棚上げ

 日本の高速道路の大いなる矛盾はつまるところ「料金プール制」です。1972年の導入された料金プール制も、高度経済成長から安定成長への切り替え、プラザ合意、道路公団「民営化」という節目がありながらも見直されることなく現在に至った結果、素人目に見ても大いなる矛盾を抱える制度として残存し、日本の高速自動車国道は実質的に「永久有料道路」の状態となっています。
 日本道路公団及び各高速道路会社の採算性は、通行量や投資効果の高い路線から着工・供用した結果、相応の償還負担がありながらも高い採算性を得ていました。しかし、プラザ合意の頃を頂点にした後の採算性は下降カーブを描く一方となります。これから将来に向かって、現制度での路線延伸が進めば進むほど矛盾は深まっていくことになります。
(とは言え、現在は新直轄方式などもあるので、一定の柔軟性が付加されたことを念のためコメントしておきます。)

●国外の事情はどうなっているか…。

 少なくとも海外の先例は日本でも参考になったはずと思います。JRの「民営化」は海外でも高く評価されているところですが、道路については意外に民活等の事例は国外に多々ありまして、それらに学ぶことは多かったと思います。実のところ、特に欧米では道路単独ではなく公共交通機関のあり方も一体にして考える傾向にあるうえ、上下分離の問題、社会資本としての位置づけの問題など、日本の「民営化」はちょっと異質と考えます。
(ちなみに、高速道路建設を完全に民間にゆだねた場合はどうなるか?。より効率的な投資回収を求めるモデル式で考えると、交通量が膨大で短距離の路線(都市部)は有利になり、地方で開発道路的な位置づけとなる路線は著しく不利になります。)

 断っておきますと、作者KAWASAKIは高速道路無料化賛成派でもありませんし、逆に無料化反対派でもありません。 高速道路という公共財の分配にあたり、「高速道路を無料とするならば維持修繕を含む財源はどう手当てするのか?諸外国で既に失敗している事例をふまえてどう制度設計すべきか?」「高速道路を有料とするならば、どのような制度設計・料金体系にすれば社会的効率性を達成できるのか?」という思考こそあるべきでは…というのが当方の持論です。どちらの道をとるにしても、一朝一夕の議論ではまとまらないことと予想します。
 
 道路公団民営化は、元は2001年から本格的に議論が進んだ財投改革の一環でした。当時は大いに批判された第二東名高速道路の建設も、いざ2012年に静岡県内区間が開通すると多方面から歓迎されて久しい状態です。論難と熱狂から冷めたとき、道路公団民営化の当時の議論を今一度振り返ってみる必要があるのでは…と考えます。



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