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高速道路用案内標識の歴史A-3

2013年07月19日 20:53

「次回は、名神高速道路開通時の標識について解説していきます」と言ったところですが、「そういえば出口標識を記載するのを忘れていた!」と後になってから気付いたので、ちょっと補足的に追加させていただきます。


bl-n719z.jpg


「出口標識」とは、本線車道と流出車線の間にある三角州のようなところに設置する標識です。上は名神高速道路豊中IC付近の画像ですが、赤丸の部分の標識が「出口標識」に相当します。現在でこそIC番号やIC名が入っている標識が一般的となっていますが、高速道路建設の初期は「出口」と矢印のみというシンプルなもので検討されていました。(「出口標識」の詳細に関する解説は次回に回したいと思います)
ちなみに、これから出てくるA~Dについては、前回記事のA~Dの標識案と対応しています。


<A案>

bl-n719a.jpg

IC番号の下に、接続する国道番号を記載したタイプ。
かなりシンプルな感じです。


<B案>

bl-n719b.jpg

続いてB案のもの。
こちらはA案から国道番号を消去したタイプです。IC番号と矢印相当の二等辺三角形のみ。


<C案>

bl-n719c.jpg

矢印と丸囲みのIC番号のみ。
割とドイツっぽい感じがするような気がしますが…。


<D案>

bl-n719d.jpg

最後にD案のもの。矢印と「出口」の文字のみ。
何だかどこかで見たことがありますねぇ(笑)


そして最終的にどの標識が採用されたかというと、もうおわかりかと思いますが、出口標識についてはD案がそのまま採用されることになりました。まぁ、予告標識についてはC案のタイプが採用されていましたが、出口標識だけはは当時の思想上シンプルなものがベストという考えが強かったようで、IC番号すら記載無いD案に決まったようです。確かに当時の諸外国の道路標識を見てみても、出口標識にはIC番号や地名すらなく「EXIT(米国)」「Ausfahrt(独国)」といった記載(※いずれも「出口」の意味、イタリアは都市名のみ記載)の標識が主流だったようで、日本もこのような流れに強く影響を受けたものと思われます。

蛇足ですが、個人的にはA・B・C案に比べてD案は国際対応という面ではちょっと問題があったように思います。A・B・C案はIC番号が一応記載されており、日本語に不慣れなドライバーでも前方の出口が何というICであるのかを一応IC番号をキーとして確認できます。ただ、D案だと単に日本語で「出口」というで、IC番号はおろか「EXIT」という英文併記も無し。まぁ、当時の設計思想からすると「あくまでもIC番号や地名するのは予告標識と行動点標識のみで可。出口標識(三角州)の地点では既に分岐が終了になるので、そんなところにIC番号や地名を記載しても無意味」という考え方だったようなので、これで良しという感じだったのでしょうが…。

この出口標識に縦型のもの(俗に言う「府中インター対策標識」)が追加されるのは中央道開通前の1967年のこと、更に「EXIT」の英文併記とIC番号・IC名の記載が原則化されるのは1985年のことです。これらの背景等については後日の解説にしたいと思います。


試験検討時代だけでだいぶ長くなってしまいました…。
次こそはいよいよ名神高速開通に伴って制定された高速道路用案内標識を解説していきます。

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