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ジャンクションの形状概説

2011年10月09日 01:21

今更ジャンクションの種類なんて~という感もありますが、小ネタとして一般的なジャンクションの種類をここで整理してみようと思います。なお、ランプ・インターチェンジ(IC)・ジャンクション(JCT)については以下の定義とし、ここでは高速道路同士を連結するジャンクションのみを取り上げることとします。

 ランプ:高速道路本線と高速道路本線を結ぶ連絡道路のこと。
 IC:高速道路と一般道路を結ぶもの
 JCT:高速道路と高速道路を結ぶもので、一時停止や信号機による交通整理が不要なもの。

そのうえで、更にジャンクションの形状を「三叉路」と「四叉路」に分けた方が違いがわかりやすいと思いますので、ここでは「三叉路ジャンクション」と「四叉路ジャンクション」に区分して検討していきます。


1 三叉路ジャンクション 

(1)トランペット型

bl-lx09aa.jpg

上の画像は滋賀県米原市の米原JCTの上空写真。
横に走っている名神高速道路と上に伸びる北陸自動車道を接続しています。
トランペット型ジャンクションの特徴的な構造は下の画像の赤い部分
複数ある連絡道路のうち、くるっと回められている連絡道路が特徴的な構造です。
ここがトランペットに似ていることから、「トランペット型」と呼ばれています。

bl-lx09ab.jpg

くるっと回っている箇所(赤い部分)は270度カーブを強いられますので、さばける交通量は小さくなります。高速自動車道同士の主要ジャンクションで採用されているのはこの米原JCTくらいで、他の三差路ジャンクションにおいては基本的にY字型です。もっとも、米原JCTの場合は北陸自動車道の起点の先に検札所が設置されており、どのみち通行車両に減速を強いても不都合が無かったために、このトランペット型が採用されたのかも知れません。

交通容量には上述のとおり難がありますが、単純な構造でかつ必要とする建設用地も小さいことから、建設コストの面では非常に有利です。ジャンクションでの採用例はこの米原JCTくらいですが、インターチェンジではこのトランペット型がかなり利用されており、比較的早い時期に建設されたインターチェンジはほとんど全てと行って良いくらいトランペット型です。東名高速道路に至っては、開通後に追加されたICと東京ICを除けば、全てのインターチェンジがトランペット型でした。

※念のため…
○山陽自動車道と中国自動車道を接続する神戸ジャンクションもトランペット型に近いですが、将来的に新名神高速道路との接続を予定している形状のため、純粋なトランペット型とは違います。
○中国自動車道と舞鶴若狭自動車道を接続する吉川ジャンクションはこのトランペット型です。
○宮崎自動車道と東九州自動車道を接続する清武ジャンクションも、2011年現在はこのトランペット型になっていますが、将来的には東九州自動車道の延伸により三差路ジャンクションから四差路ジャンクションになる予定です。




(2)Y字型

今度は愛知県小牧市の小牧JCTの画像。
東名高速道路と中央自動車道を接続していますが、日本の高速道路では一番最初に供用開始されたという歴史あるジャンクションです。

bl-lx09ba.jpg

トランペット型との違いは、くるっと丸められているところがないこと。そのかわりに下画像の青線・赤線のように立体交差させる箇所が追加されています。用地取得や建設費等のコストについてはトランペット型よりも大きくなりますが、相応の広い半径を持つカーブで各路線を接続できますので、交通容量としてはトランペット型よりも有利です。

bl-lx09bb.jpg


日本の高速道路における三差路ジャンクションでは、ほとんどがこの構造を採用しています。




2 四差路ジャンクション 

(3)クローバー型

日本では佐賀県鳥栖市の鳥栖JCTでしか見られないジャンクションです。
ちょっと色々あるので、高速道路の本場であるドイツから画像を持ってきました。
あんまりよくわかりませんが、「Saale-Holzland-Kreis」というところにあるE40とE51のジャンクションのようです。
(ちなみに、欧米では右側通行が主流ですが、日英式(??)に左側通行で考えます)

bl-lx09ca.jpg

見てのとおり、内側にきれいな円が4つありまして、これがクローバーに似ていることから「クローバー型」と呼ばれます。
通行方法については下を見てもらえばよいのですが、画像の右側から走ってきた場合で考えると
・左方向に行きたい場合→そのまま直進
・下方向に行きたい場合→赤線の連絡道路へ入ればOK
・上方向に行きたい場合→青線のとおり走ればOK
と言った感じになります。

bl-lx09cb.jpg

しかしながら、青線のとおり走った後、更に緑線のとおりに走ると、今度は対向車線に出てしまうことができます。更には、緑線に入った後、更に内側の円に入って…を繰り返すと、ジャンクションをぐるぐると永遠に回り続けることも可能です。
タービン型に比べれば、構造は比較的単純なので建設費そのものはあまりかからなくてすみます。ただし、JCT設置のための広大な敷地が必要となり、そのための用地取得コストがかさむのが欠点。丸い部分が4つもできるので、ダブルトランペット型よりも交通容量は落ちます。しかも、用地コストをけちってできるだけ小さな面積にしようとすると、今度は内側の丸い部分のカーブがきつくなってしまい、交通容量が更に低くなってしまうというジレンマに陥ります。

下の画像が日本で唯一のクローバー型ジャンクションである鳥栖JCTの上空写真。
円の形が若干いびつのような気がしますが…。特に、九州道鹿児島側→大分道大分方面に走る場合は、左上の一番小さなループを走らされることになります。あまり利用者がいないから、カーブ半径が小さくてもいいだろう~?ということだったんでしょうか…。

bl-lx09cc.jpg
 
なお、この鳥栖JCTでは、九州道福岡側→長崎道長崎方面(青線)への車両の混雑が顕著であったことから、2001年にオレンジ色の連絡道路「サガンクロス橋」を新設しています。なので、現在は純粋なクローバー型のジャンクションではなくなっています。

bl-lx09cd.jpg




(4)タービン型

bl-lx09da.jpg


回転機械とでも言うべき「タービン」の名前を冠したジャンクション。立体交差に伴う高架橋が何カ所も必要となることから、工事費は結構かさみます。しかしながら、織込み交通(後述)の問題は発生せず、比較的緩やかなカーブ半径を確保でき、近年の技術進歩を追い風に新規で建設されるジャンクションはこのタービン型が多くなりました。

完全なタービン型となっているのは、常磐自動車道と首都高6号三郷線、東京外環道路を接続する三郷ジャンクションが有名です。(上の画像はその三郷ジャンクションを持ってきてみました)
整理すると、交通容量では一番優位、工事費は高架橋がたくさんある関係でかさみますが、用地取得費はクローバー型よりも小さくて済みます。




(5)ダブルトランペット型

bl-lx09ea.jpg

トランペット型を2つ接続した形のジャンクション。
多分、コストの面ではクローバー型よりも更に安くなると思います。
2つのトランペット型ジャンクションの間に織込み交通(後述)が生じるため、交通容量では若干劣ります。
(全ての方向で織込み交通が発生してしまうクローバー型よりはマシだと思いますが…)




(6)ダブルY字型

bl-lx09fa.jpg


「ダブルトランペット型」に比べると、あまり使われない呼び方ですが、一応「ダブルY字型」という分類にしてみました。
文字通り、こちらも2つのY字型を接続し合ったジャンクションです。
下の画像は中央自動車道と東海環状自動車道を接続する岐阜県土岐市の土岐JCT。
ダブルトランペット型同様、織込み交通(後述)の問題は発生します。




※織り込み交通とは?

2つの路線が短い間に合流して分岐する箇所のことを言います。
言わば合流車線と流出車線が一緒になった状態のため、交通量が多くなると事故等の危険が高まります。

bl-lx09za.jpg

上の画像では、(2)の車両が高速道路A→高速道路Bに車線変更しようとして、同時に車両(3)が高速道路B→高速道路Aに車線変更しようとしています。当然ながらお互いが進路確認をしっかりやっていないと事故の元になり得ます。
 
先ほどの郡山JCTを例にとります。
下の画像で言うと、上下に走っているのが東北自動車道で、上方向が青森・仙台側、下方向が東京側。左右に走っているのが磐越自動車道で、左上方向が新潟方面、右方向がいわき方面です。
東北自動車道→磐越自動車道という具合で乗り換える場合、東北道上り線を青森側から走ってきた車両は緑色の箇所を、東北道下り線を東京側から走ってきた車両は赤色の箇所を走ってきます。この二つの連絡道路は紫色の箇所で一旦合流するのですが、この紫色の箇所がクセモノ「折り込み交通」という場所になります。

bl-lx09eb.jpg

もしも、赤色のところを走ってくると、紫色の合流部で左側車線を走っていることになりますが、磐越道いわき方面に向かうのであればそのまま左側車線を走って青色の連絡路に乗ればOKです。しかしながら、磐越道新潟方面に向かう場合は黄色の連絡路に入る必要があるため、紫色の箇所で車線変更して右側車線に出ねばなりません。この車線変更にあたっては、緑色箇所を走ってきた東北道青森側(上り線)からの車両も当然に合流してくるために、そちらの安全確認もしつつの車線変更が必要となります。
ダブルトランペット型・ダブルY字型・クローバー型では、この織り込み交通の問題が発生します。
タービン型の場合は、「本線からの分岐」→「目指すべき路線への分岐」→「多方面からの車両と合流」→「目指すべき路線の本線合流」という流れになることから、合流と分岐が明確に区分されているため、この織り込み交通の問題は発生しません。




四叉路ジャンクションでは、比較的古くから供用されていたものはダブルY字型もしくはダブルトランペットが多いかな…というところです。しかしながら、最近供用されるものについては、交通容量の関係で有利なタービン型(もしくはその変形型)をとることが多いようです。

今回もだいぶ長くなってしまいました…。
少し間をおいた後、今度は珍しいジャンクション、少し変わったジャンクションを取り上げていこうと思います。



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コメント

  1. 氏名記入無し | URL | -

    三郷JCTは出口がある関係で絞り混みは発生します。あと松原JCTの検証やってほしい。

  2. 氏名記入無し | URL | -

    三郷JCTは出口がある関係で絞り混みは発生します。

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