2023年12月01日 22:10
2023年11月28日 20:38

↑名古屋市道路元標
名古屋市中区栄三丁目の広小路本町交差点の南東側に設置されています。
南北を走る本町通と、東西を走る広小路が交差する地点です。

↑1919年の(旧)道路法に基づき全国に設置されたものの一つですが、こちらは往事のものの復元版。
道路元標の横には、説明書きも設置されていました。

↑説明書き
「名古屋市では大正9年の愛知県告示により『中区鉄砲町18番の1地先』とされ、この付近に設けられました」とのこと。

↑名古屋市道路元標の周辺
道路元標は小規模自治体だと町村役場前に設置されましたが、大都市の場合は代表的な交差点に設置されるケースが多い傾向もあり、名古屋市は後者のケースと思われます。
名古屋城に至る「本町通」は明治国道十号(おそらくその後の大正国道十二号)であったわけで、バイパスとして伏見通(現在のR22)ができるまではまさしく名古屋市の南北軸でした。「広小路」は元々「堀切筋」と呼ばれる通りでしたが、1660年の「万治の大火」後に火除地として拡幅され、以来「広小路」と呼ばれるようになった街路で、歴史的にも「名古屋の銀座(?)」と言っても差し支えないかと…。
そのような2つの道路が交差する「広小路本町」はまさに名古屋市の中核と言える地点だったことと思います。
旧道路法に基づき設置された道路元標は、撤去されるか、残存してもボロボロになるかという例も多い中、市街の歴史を留める一つのモニュメントとして後世にも有用な存在になっていくのではないかと考えます。
[KAWASAKI-OW4273(129)]
2023年11月21日 20:32

↑知床斜里駅
JR釧網本線の駅でありまして、斜里町の中心地に位置します。
かつては国鉄根北線が分岐し、根室までをショートカットするルートができる予定でしたが、根北線はここから13kmほどの越川駅まで開通したところで建設がストップし、以後延伸されること無く1970年に廃止となりました。
この駅は中に入ったことが無く、外観の写真のみとなります。

↑道道92号斜里停車場線
「知床斜里駅」となったのは1998年のことで、それまでは「斜里駅」でした。
道道名の「道道92号斜里停車場線」は改称前の駅名に由来します。

↑道道知床公園線
それにしても、支庁所在地でもなく、市域でもない郡部にある鉄道駅の停車場線が、なぜ主要地方道として認定されているのか。
実を言いますと、r92は1971年に主要地方道として認定された「道道知床公園斜里線」が前身です。
当時は斜里町の市街地から知床半島に向かう道道だったわけですが、1975年にその大部分が国道334号に昇格。
残った区間のうち斜里町の市街地区間が「道道斜里停車場線」となり、知床半島側は「道道知床公園線」となりました。なので、「道道斜里停車場線」は初めから停車場線として認定された路線では無く、主要地方道であった観光地道道の残渣(すみません…)という感じだったりします。
路線番号的にも、主要地方道となった停車場線は「26」までとなっているのに対し、この「道道斜里停車場線」だけは「92」と飛び地的な採番であり、他の主要地方道停車場線(札幌・苫小牧…帯広)とは、性格を異にしていると考えるのが妥当と考えております。
では、本来的な道内の主要地方道の停車場線はどのような要件が存在するのか。
1954年の主要地方道の初回認定時は、道内で主要地方道となった停車場線は、札幌駅の1路線(現在のr18)だけでした。内地でも府県庁所在地の停車場線だけが主要地方道として認定されており、元々は「1県で1路線まで」という取り扱いだったと見えますが、1993年には認定基準が緩和されたようで、道府県庁所在地以外の主要駅の停車場線も新たに主要地方道として認定されることとなりました。
確たる資料があるわけではないですが、路線番号「18」から「26」までの傾向を考えると以下の通りとなります。
(以下、「振興局」ではなく、主要地方道認定時の「支庁」で記述します)
(1)支庁(現在は振興局)所在地またはそれに準ずる都市の駅であること
札幌、苫小牧、旭川、留萌、網走、釧路、帯広…と続くと、「留萌」が少し微妙ですが、一応は支庁所在地。「苫小牧」は支庁所在地ではありませんが、人口では既に支庁所在地の室蘭市を抜いて久しく、港湾機能でも今や室蘭よりも重要な位置づけにあるので、まぁ違和感は無いかと。
(2)支庁単位で原則一つ
これは二つの意味がありまして、一つは「支庁で代表駅を一つ選ぶ」ということ。もう一つは「支庁で一つまで(二つ以上は認定しない)」というもの。

↑ありし日の留萌駅
「支庁で代表駅を一つ選ぶ」の代表例は「留萌」でしょうか。
「留萌」はかつてニシンや鉱山でにぎわった駅であり、更には国鉄羽幌線も接続して重要な駅となっていましたが、主要地方道として認定されたのは既にローカル線状態となっていた最中の1993年のことでした。わざわざこのような駅の停車場線を主要地方道に認定したのは、たぶん「支庁で一つ」ということだったのではなかろうかと。
一方で根室支庁は主要地方道となっている停車場線が全くありません。留萌駅と根室駅の違いを考えてみると、留萌には留萌貨物線があり、根室には無かった(重要な位置づけでは無かった)と言う相違点はあります。留萌本線の貨物の完全廃止は1999年ですが、一応は留萌港を背景に石炭輸送もありましたので、そのあたりが関係しているかもしれません。
他方、渡島支庁・後志支庁・宗谷支庁に主要地方道となっている停車場線が無いのは、それぞれの代表駅(函館駅・小樽駅・稚内駅)で下記(4)のとおり道道認定できる道路が存在しないということが原因なんでしょうね。

↑東室蘭駅

↑北見駅
もう一つの「二つ以上は認定しない」というのは、そもそも北海道で一つの支庁に二つ以上の主要都市があること自体がレアケースで、該当するのは胆振支庁の「室蘭市」「苫小牧市」、網走支庁(現 オホーツク総合振興局)の「網走市」「北見市」くらいですね。胆振支庁については、室蘭市の代表駅って室蘭駅ではなくて東室蘭だったりしますが、(1)で述べたとおり、今や室蘭市よりも苫小牧市の方が経済規模も大きくなっています。「網走駅」と「北見駅」は歴史的にもなかなか難しいところですが、北見駅は国道に隣接してしまっているので、停車場線自体が存在できなかった(4)の類型になるかと。
(一応補足すると、石狩支庁は札幌市以外にもそれなりの市が多々あります。渡島支庁には、2006年に誕生した「北斗市」が存在しますが、主要地方道の追加認定が出た1993年当時は大野町と上磯町でした。上川支庁ですと、北部の名寄市・士別市、南部の「富良野市」がありますが、旭川市とはだいぶ規模に差があります。網走支庁には更に紋別市がありますが、1993年時点では鉄道が廃止されて久しい状態でした。)
(3)市に位置すること
支庁所在地であっても「倶知安」「浦河」「江差」が主要地方道として認定されていないことは、まぁそういうことかと。
内地で主要地方道となった停車場線も同様な傾向です。

↑倶知安駅

↑ありし日の浦河駅
(4)道路法の道路となる区間が存在する
「函館」「小樽」「稚内」は歴史的にも地域的にも重要な駅であり、停車場線が主要地方道になっても全く不自然ではないのですが、函館駅は国道5号の起点に隣接しており、停車場線となる道路自体が存在しません。小樽駅も国道5号に直結。稚内駅は国道40号終点に隣接しています。
もしも国道から少し離れたところに駅があり、国道と駅を結ぶ停車場線が存在していたら、これらの駅はおそらく主要地方道になっていたことと思います。

↑函館駅ホーム

↑小樽駅

↑稚内駅
(5)その他
残るは岩見沢駅です。空知支庁の支庁所在地である「岩見沢」は、主要地方道として認定されていません。人口規模でも、他の支庁所在地である留萌市・稚内市に比べて岩見沢市の方が大きいわけですが、札幌市にかなり近いという位置関係だけに地域の主要都市となっているかは微妙な存在。しかも人口で言えば隣接する江別市(石狩支庁)の方が大きいわけで…。
「支庁所在地の駅は、すべからく主要地方道に認定すべし」という基準を形式的に適用したら、岩見沢も主要地方道になっていたことと思いますが、まぁ感覚的には一般道道でも自然かな…と。

↑岩見沢駅前
あと、こうしてみると「鉄道の分岐駅かどうか」はあまり関係ないように思います。
「特急の停車駅かどうか」もあまり関係ないかもしれませんが、「留萌」を除けば全て特急が発着しています。
そして、主要地方道まで「網」の考えを適用しているとは考えたくないものの、「岩見沢駅」が主要地方道の認定から漏れたとなると、やはり「網」が関係しているのでしょうか。根室市は道路密度が低いとは言え、主要地方道が2路線存在します。一方の留萌市は、留萌停車場線と留萌港線を除けば市街を結ぶ主要地方道は皆無です。
(内地の主要地方道の傾向を踏まえた方がいいんでしょうけれど、北海道ですからね…)
今回も無駄話を多々してしまったシリーズとなりました。
まぁ、こういう話は、あれやこれや考えている時が楽しいモノで、いざ基準・要領などの公文書が見つかったそのときは嬉しいとは言え、何だか楽しみがなくなってしまう感じすら覚えてしまいます…。個人的にも、推測の中でブログ記事を書いているときが一番楽しかったりするんですね。
公共交通機関と道路の関係をこれからどう整理していくのか、北海道はもちろんのこと、内地であったも予断を許さない状態となっていますが、「総合的な交通体系」と言う枠組みの中で、公共交通機関も道路もそれぞれの役割を担えることを願いつつ、このシリーズを終わりとしたいと思います。
2023年11月01日 05:07
2023年10月13日 05:47

↑帯広駅
現在の駅舎は1996年築。1階に改札口、2階にホームがあるという構造です。
かつては国鉄士幌線・国鉄士幌線の接続駅でもありましたが、どちらも国鉄民営化前の1987年に廃止されています。

↑駅ホームには2階にある構造。
改札口は上下線で分かれており、画像の左側はJR根室本線上り線用、右側はJR根室本線下り線用となります。
まぁ、この改札口が帯広ステーションビル(株)の自己破産の一因となったと言われていますが…。
(興味のある人は「帯広ステーションビル」で検索を…)

↑ちなみにこんなところにミニ幸福駅もあったりしました。

↑帯広駅のホーム
帯広駅は特急「おおぞら」のほか、特急「とかち」が停車し、釧路駅と比べても特急の便数が多い駅でした。
かつては帯広空港から札幌に向かう航空路線も存在しましたが、石勝線開通後は特急の方が断然有利となり、航空路線も廃止となりました。
帯広は道内でも経済では元気な地域ですので、他の地域と比べて鉄道の存続はまだ見通しが明るいかと。
※ちなみに、主要地方道の停車場線はこれで終わり…かと思いきや、あまのじゃく的に知床斜里駅が残っていたりします。次月でご紹介します。
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